上映作品 紹介

「ヒマラヤ国際映画祭 WEST JAPAN 2009」で上映する全30作品を部門別にご紹介します。
〈全作品日本語字幕付〉

環境部門
1. メルトダウン 氷河融解
Meltdown
監督:リチャード・ヒープ/2004/イギリス/50分

温暖化によって”世界の屋根”ヒマラヤの環境が深刻な危機に晒されている。この数十年間に氷河は急速に融けて後退し、氷河湖が随所に出現している。湖が決壊した時、村は瞬時に消える。国連調査隊が現地で目撃したものとは…。深刻な被害と恐怖を訴える驚愕のルポ。

2. 残すのは足あとだけ
Leave Nothing but Footprints
監督:サンジェイ・バーネラ/2007/インド/36分

観光は地元の雇用を増やし国庫を潤す一方、ごみ、自然破壊、インフラ不足などの問題をもたらす。インド内ヒマラヤのさまざまな観光地の現状と改善への取り組みを見つめ、自然・文化・経済に優しいエコフレンドリーな観光とは何かを考える。
www.movingimagesindia.com

3. 草地戦争
Turf Wars
監督:サンジェイ・ヴァサント/2001/インド/40分

1999年、インド・ヒマチャル州のクク谷の村民たちは、国立公園設立のため、先祖代々受け継いできた地域での放牧と薬草採取の権利を失った。諦めかける村民たち…しかし、予定地にダム建設の話が持ち上がり、環境破壊の危惧を前に行政府への不信感と怒りが再燃する。
www.movingimagesindia.com

4. 天国の森
Timber to Tibet
監督:モハン・マイナリ/2004/ネパール/40分

ネパール・北ゴルカ地方、”天国”と呼ばれるシアラの森では、人々が豊かな森を古より尊んできた。しかし、貧困や生活スタイルの変化により、大樹が次々と切り倒され金品に換わる。共存してきた村の間で争いも起こる…天国の森は一体どうなってしまうのか。

冒険部門
5. 天空を駆ける
Riding Solo To The Top Of The World
監督:ガウラヴ・ジャニ/2006/インド/90分

インド人ライダーが単独でムンバイより世界最高所の高原・チャンタン高原をめざし、5000キロの旅に出る! そこは平均高度4500メートル、冬には−40度にもなる場所だ。 広大な自然、深遠なるチベット文化、遊牧民との交流の日々…。ロードムービーの傑作いよいよ関西初公開。
http://dirttrackproductions.com/

6. 盲目のクライマー
Farther than the Eye Can See
監督:マイケル・ブラウン/2003/アメリカ/75分

世界初、盲目の男性が世界最高峰・エベレストをめざす。氷河、垂直の岩壁など、危険と隣り合わせの挑戦は彼にとって一体何を意味するのか。誰も想像し得ない感動と興奮が“宇宙の中心”たるエベレストの頂きへと集約されていく。不可能を可能にする意志の力、魂の記録。

7. 雷龍の国へ!
Into the Thunder Dragon
監督:シーン・ホワイト/2003/カナダ/45分

雷龍の国、秘境ブータンを一輪車で旅する冒険野郎たち。険しい山も颯爽と飛ばす! 初めて見る奇抜な乗り物に地元では大人も子供もびっくり。偉大なるヒマラヤ山脈に抱かれ、各地で新たな交流が生まれる。神秘の国を舞台にした驚異のアドベンチャー! 撮影テクニックも必見。
www.seanwhite.net

8. ヒマラヤの空から
A Higher Calling
監督:ニール・マイケリス/2000/アメリカ/45分

ヒマラヤの山々を滑空する。それは”鳥の旅”だ。ヒマラヤを代表する8千メートル峰・アンナプルナが間近に迫る。"鳥人"たちは空から村々へと舞い降りる。そこでは、村人たちの暖かなもてなしが待っていた。パラグライダーとヒマラヤに魅せられた男たちの冒険と交流を描く快作。

9.- 運命の高峰
The Fatal Game
監督:ジェームス・ヘイワード/1996/ニュージーランド/52分

山岳ガイドのマークは友人の長年の夢を叶えるためエベレストへ向かった。二人は苦闘の末、登頂を果たすが、8千メートルを超える高所で一夜を明かすことに。やがて二人に悲劇が訪れる…。ヒマラヤ登山という過酷な挑戦とロマンを巡る"死"と"再生"の物語。

10. 死の領域を越えて
Trio for One
監督:シャイ・J・カッツ/2003/フランス/50分

ヒマラヤ8千メートル峰、人間を寄せ付けない”死の領域”にあえて挑むのがクライマーたちだ。しかし世界中のクライマー達が驚愕する登攀に挑む猛者が現れた。三つの巨大な峰々をわずか2ヶ月の間に制覇しようというのだ。スーパーアルピニスト驚異の軌跡に一瞬たりとも目が離せない。

政治

人権部門
11. チベットへのキックオフ
The Forbidden Team
監督:アーノルド・クロイガード &ラスムス・ディネセン/2003/デンマーク/54分

2001年、デンマークで画期的な国際サッカーゲームが行われた。「グリーンランド VS チベット」。チベットは難民メンバーによる初の“ナショナルチーム”だ。中国政府による横やりが入るも、ゲームは決行。チベットサッカー史上初のゴールが生まれる!
www.forbiddenteam.com

12. 少女とアイスホッケー
Thin ice
監督:ハカン・ベルタス/2006/スウェーデン/58分

インド、ラダック地方の少女ドルカと友人たちはアイスホッケーが大好き。トーナメント参加をめざすが、スポーツクラブは女性がスポーツをすることに難色を示す。用具が揃い、イスラムの女性たちとの混合チームが結成された。果たしてドルカたちは参加できるのか…
www.wgfilm.com/english/home/

13. チベット難民−世代を超えた闘い
Tibetan Refugees- A Struggle Beyond Generations
監督:田中 邦彦/2002/日本/108分

チベットが中国に侵略され、ダライ・ラマがインドへ亡命してから既に40年。インド北西部のダラムサーラに暮らす難民も既に3世代目だ。だが「第3世代」の未だ見ぬチベットへの思いは衰えを知らない。そして若い世代を中心にチベット解放への願いを込めた「平和行進」が今始まろうとしている。
www.10system.com

-14. 安らぎはいずこに?
Jashn-e-azadhi (How We Celebrate Freedom)
監督:サンジェイ・カク/2007/インド/136分

60回目のインド独立記念日、ジャンムー・カシミール州のシュリーナガルにも国旗があがる。だが、道路に人影はなく閑散としている…イスラム教分離独立派とインド政府軍との長年に渡る闘いが暗い影を落としているのだ。18年に及ぶ闘いで、6万人が死亡し、7万人が行方不明…カシミールの人々の嘆きは深まるばかり。インドが目指す民主主義とは。

15. 銃を取った女性たち
Chulo, Choli ra Banduk - a stove, a blouse and a gun
監督:スビナ・シュレッサ/2006/ネパール/23分

10年に及んだ毛沢東主義派ゲリラと政府軍との戦闘はネパールを内戦状態とし、1万人以上の死者を出した。ゲリラには女性兵士が多数いた。彼女たちは、なぜ兵士となる道を選んだのか?ネパールの女性たちへのDVや差別の現状が明らかになっていく。

16. 自由に死す
Better to Have Been Killed
監督:ドゥルバ・バスネット/2007/ネパール/52分

内戦下のネパールでは、報道の自由は政府により著しく制限された。その状況に闘いを挑んだジャーナリストを待っていたのは逮捕、そして拷問の数々であった。多くのジャーナリストの証言により、非常事態の中での報道の自由を巡る闘いを浮き彫りにする。

17. シアチェン 氷河の戦闘
Siachen:A war for Ice
監督:フルヴィオ・マリアーニ&マリオ・カゼッラ/2006/スイス/52分

ヒマラヤ山中、標高6000メートルに位置するシアチェン氷河を巡ってインドとパキスタンが20年以上戦闘を繰り広げている。国境線なのだ。両国は自らの正当性を繰り返すばかり。この“馬鹿げた”戦闘の解決の糸口はあるのだろうか?
http://www.siachen.ch/

貧困

開発部門
18. コーラと少年
Journey of a Red Fridge
監督:ルシアン・マンティン&ナターシャ・スタンコヴィック/2007セルビア/52分

17歳のハリは学費と生活費を稼ぐために、ポーター(荷物運び)として働いている。今回の荷は巨大なコーラの業務用冷蔵庫。それをヒマラヤの山奥から麓の街まで運ばねばならない。彼の生活苦、将来の夢が、6万人とも言われるネパールの“子供ポーター”たちのそれと重なる…
www.lunamdocs.com

19.- 思いを運ぶ手紙
Yi khel gi kawa(The Price of a Letter)
監督:ウゲン・ワン/2004/ブータン/70分

ブータン、標高4000メートルの山中にあるリンシ村。放牧など昔ながらの暮らしがある。テンジンはこの村の郵便配達員。26年間、10日以上かかる首都・ティンプーへの厳しい山中を毎月往復し手紙を届けて来た。都市と村の両方を見てきた彼の思いとは…。

20.- 我ら辺境に生きる
Hami kunako maanche ? We corner people
監督:ケサン・チェテン/2006/ネパール/50分

山あいの寒村・ネパールのタマン村。村人は自らを“片すみの人々”と呼ぶ。電気も一件の店も無い貧困が支配する。そして、洪水で一人の若い花嫁が流され、人々の憂鬱は更に深まる…そんな村に橋が架かることになった。果たして、村人の貧困や不安は軽くなるのだろうか。

21.- ヒマラヤにかける橋
Bridging the Heavens
監督:根深 誠/2005/日本/55分

チベット仏教の伝統と文化を色濃く残すヒマラヤ奥地のドルポ地方ツァルカ村。村人750人の悲願であった雨期にも流されない鉄の橋を一人の日本人が贈ることを決意。河口慧海の足跡を辿ってここに何度も通っている根深誠だ。3年の苦闘の末、彼は橋の本体を完成させる。

22.- レプチャ族の村
Tingvong:a Lepcha village in Sikkim
監督:アンナ・バルックチュ・デンジョンパ & ダワ・T・レプチャ/2005/インド/60分

カンチェンジュンガ峰の山麓に暮らすレプチャ族。その生活スタイルは、この60年間に伝統的な狩猟から定住型の専門農業へと大きく変化。しかし、仏教とシャーマニズムの伝統は今も生き続け、次の世代へと受け継がれている。「映像人類学」の記録。

文化部門
23. 尼僧の智慧
Daughters of Wisdom
監督:バリ・パールマン/2007/アメリカ/70分

チベットの僧院では幾世紀にも渡り、男性が修行と教育の中心的な役割を果たしている。しかし、ナチェン地方のカラロンゴ僧院では、前例の無いことに約300人の尼僧が修行と教育を受け、チベット文化を守る役割を担う。尼僧たちの知られざる日々に密着した心を浄化するドキュメンタリー。
http://www.daughtersofwisdom.com/

24. ミス チベット
Miss Tibet
監督:シェバウ・ルズール・ヴァン・リーウェン & テンジン・タルドー/2007/インド/30分

チベット亡命政府のあるインドのダラムサーラの難民コミュニティーでは、毎年、“美人コンテスト”が行われている。だが今回、候補者は一人だけ…「チベットの伝統にそぐわない」と、コンテストを快く思わない者もいる。果たして、コンテストは成功するのか?

25. 怒れる僧侶
Angry Monk
監督:リュック・シェドラー/2005/スイス/60分

「チベット」…悟った良き人々のみが住む神秘の天空の世界? そんな「固定観念」を覆し、真のチベット解放を目指す“怒れる僧侶”が50年代にいた。ゲンドゥン・チュンペー。彼はやがて「フリーチベット」のシンボルとなっていく。古のチベットの姿、そして、チベットの未来が見えてくる。
http://www.angrymonkthefilm.ch/

26. チベットの高僧
Call It Karma
監督:ジェフ・ブラウン/2004/カナダ/48分

バンクーバーの街中で偶然出会ったカナダ人青年とチベット仏教の若き高僧。過酷な修行、ヒマラヤ越え、西洋への布教?高僧の半生に青年は深い感銘を受ける。やがて、二人は僧侶の故郷・チベットへと向かう?スペクタクルな風景と共に描かれる真実の物語。
http://www.callitkarmathemovie.com/

27. 我が故郷 - チベット
Closer than Tibet
監督:ロン・シェール/2006/ベルギー/56分

チベット人アーティスト、タシ・ノルブ。ブリュッセルを拠点に活動を展開。幼少より続く難民としてのトラウマ、中国のチベット支配、欧米でのチベット仏教の台頭などをタシは赤裸々に語る。チベットの伝統を基に新たな芸術表現を追究する彼の目指す世界、創造の源とは。
タシ・ノルブ official site : www.tashinorbu.be

28. 遊牧民と呼ばれて
A man called nomad
監督:アレックス・ガッバイ/2002/ネパール/40分

中国国内のチベット族。遊牧を生業とし伝統的な生活を守り続けて来た。しかし、近代化の波が彼らを取り巻く環境を急速に変化させる。伝統と近代化の狭間でどう折り合いをつけるのか?遊牧民として生きていく意味とは? ある家族を通じてチベット族遊牧民の現状を描く。

29. 歌声はヒマラヤのかなたに
Bhedako Oon Jasto... in search of a song...
監督:キラン・クリシュナ・シュレスタ/2004/ネパール/56分

ヒマラヤ山中で聞いた民謡が忘れられないジャーナリスト。その歌を彼から聞いた友人のミュージシャンは新しいアルバムに収録することを切望する。一行はメロディに惹きつけられるようにヒマラヤの奥地へと民謡のルーツを探しに旅立つ…。そこには数々の出会いが待っていた。

30. ブータン - 幸福への中道を行く
Bhutan - Taking the Middle Path to Happiness
監督:トム・ヴェンデッティ/2007/アメリカ/57分

ブータン王国。豊かな自然環境の中で人々の多くが今も伝統的生活を営む。政府は「国民最大幸福」という精神的な豊かさを目指す政策を打ち出し世界の関心を集めている。真の幸せを得るためには「中道」が大切だと言う。「中道」とは何か? ブータン人が持つ幸福観とは?
http://www.bhutanfilm.com/

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